一 反帝・反スターリン主義の旗のもと革共同全国委員会に結集せよ
 
 一九五八年八月三〇日結成された革共同・全国委員会の結成宣言である。反帝・反スターリン主義党の創成は、まさに創設者、本多書記長によって声高らかに発せられたのであり、『前進』創刊号をかざったのである。
 
 全国の同志諸君!
 革命的労働者諸君! 革命的知識人、学生諸君!
 わが日本革命的共産主義者同盟は、いまや重大な岐路にある。中央書記局=関西派によって、こんにち、強引におしすすめられている綱領的反対派しめだしの陰謀は、いよいよ魔女狩りの様相をおびつつある。関西派の書記局通達第三号(九月一〇日付)は、あきらかにかれらがわが同盟を関西派分派の徒党と化そうとする決意のもとに、すべての俗物的統制をおしすすめつつあることを露骨に表現している。かれらのいう「規律違反」追及は、早晩かならずや綱領的反対派にたいする魔女狩りの手段として遂行されるであろうというわれわれの全国大会における警告は、関西派のたびかさなる否定にもかかわらず、いまや明白にかれらの通達において証明されるにいたった。わが同盟のもっとも光栄にみちた特質である革命的批判精神を絞殺し、わが同盟を去勢された権威主義者と無理論的な単純実践主義者の廃虚に転落させようとする関西派の策動をこれ以上放置しておくことは、まったく犯罪的な怯懦であろう。われわれは、過去におけるいっさいのゆきがかりを断固としてはらいのけ、関西派の策動を弾劾すべく、あらゆる職場、あらゆる学園、あらゆる地域において抗議の声が発せられなければならない。なぜなら、中央書記局=関西派のいわゆる「探究派」狩りは、ひとりいわゆる「探究派」にむけられたものではないからである。関西派の策動は、「西テーゼ」に疑問をもち、かれらの修正主義的方針に批判的なすべての自分の肩に頭をのせた共産主義者への、許しがたい侮辱から出発している。岡谷書簡(七月二七日付)であきらかになったように、かれらのいう「実践的立場」とは、同盟内におけるいっさいの自由な革命戦略=組織戦術にかんする討論を封殺し、西修正主義の観念的「方針」の無批判的支持を要求するカンパニアに参加することにあるにすぎない。
 関西派の諸君はわれわれにむかっていう−空論的非実践主義を粉砕せよ!と。だが、実践とは会議の席上でながながと「国有化」の意義についておしゃべりしたりすることでもなければ、自分に理解できない理論=方針に遭遇して「学習会ではない」などと野次ることでもけっしてない。あるいはまた、日々続発する政治的事件に目の色をかえて右往左往することでもない。日本革命の決定的瞬間にそなえ、マルクス主義を現実の階級関係の生きた運動のなかで鍛えあげつつ、何よりもまず、大衆を獲得すべき革命的主体そのものの創造にかかわるものとして現実性をうるのでなければならない。見せかけの議論の花々しさに幻惑されてはならない。われわれにいま必要なことは現実について多く語ることではなくて、現実を根底においてとらえることである。
 
 全国の同志諸君!
 革命的労働者諸君! 革命的知識人、学生諸君!
 中央書記局=関西派が、こんにちになって、大会を直前にひかえた七月になって、なぜかくも凶暴性を発揮するにいたったのかについて、その秘密をあきらかにしよう。その秘密の第一は、関西派の綱領=方針の破綻が全面的に露呈し、これをつくろうにはただ官僚的統制と徒党的結集しかありえぬことが明白になったからである。そのもっとも印象的事件は、炭鉱の国営国管問題について、中央書記局と関東ビューローとのあいだにまったく決定的な対立をもたらしたことであった(「労働者」五号参照)。こんにち、関西派に追従している若干の同志諸君は、破廉恥にもこの事実を暗々裡のうちに陰蔽しようとしている。秘密の第二は、関西派が、ほかならぬ関西において学生戦線のヘゲモニーを日共派に奪われたという、かれらの「実践」の総体的結果を糊塗するための「緊張政策」であったことである。中央書記局のお膝元で招来したこの無残な敗北から教訓をみちびきだしえぬ客観主義者のみが、よく「探究派」退治に血道をあげうるのである。
 全国の同志諸君!
 革命的労働者諸君! 革命的知識人、学生諸君!
 われわれは、現在わが中央書記局=関西派によってわが同盟の「綱領」とされているいわゆる「西テーゼ」を、わが同盟の戦旗であると認めることはできない。全国的な組織討議をいささかも組織することなしに、しかも綱領的反対派の欠席のもとで「決定」されたこの西テーゼは、関西派の分派綱領以外のなにものでもない。しかも、その西テーゼたるや、トロツキーの諸文献からの断片的引用の雑炊であり、綱領に値するなんらの理論的洞察力も現状分析もみいだしえぬしろものである。そればかりではない。それは明白な誤謬にみちた諸規定の「創造」集でもある。
 見よ――「労働者国家の飛躍的発展」なる一語に集約されたかれらのエセ・トロツキズムを。しかも中央書記局=関西派はまったくごていねいにも、大会において「労働者国家無条件擁護」「植民地革命無条件擁護」の二項目を「トロツキズムの原則的態度」をあきらかにすべく書きくわえた。
 かくしてかれらは、パブロ=太田修正主義への後退を準備している。関西派の第四国際書記局(IS)への「批判」的ポーズは、パブロ=ジェルマンの非組織的行為にたいする反発から生じたメッキにすぎず、その本質においてパブロ=ジェルマン主義の日本型であるにすぎない。こうした中央書記局=関西派の立場は、当然のこととしてかれらのいう「実践的方針」においてその本質をあらわにする。『世界革命』紙上の西「国有化のスローガンについて」、岡谷「社共支持をさらにおしすすめよ」の二論文(?!)はそのグロテスクな残骸である。階級闘争の熾烈な現実は、わずか二カ月のうちにかれらの方針の修正主義的本質を照らしだし、その「実践」の観念性をあばきだしてしまった。炭労幹部の裏切りと総評大会の無意味さにたいして、まさに「トロツキスト」 の側からも支援がおこなわれたというこの簡潔な事実のなかに、わが日本のトロツキスト運動の深刻な危機が凝縮していることを自覚せざるをえないであろう。
 第四インターナショナル日本支部の設立をめざし、革命的マルクス主義者の中核的結集をはかりつつも、国際書記局のパブロ=ジェルマン一派のプロ・スターリン主義的本質との断固たる闘争をいっさいの俗物的配慮を拒否して遂行してきたわれわれは、いまやここにその日本におけるエピゴーネン関西派との非妥協的闘争をもその一環としてなしとげていくであろう。
 
 全国の同志諸君!
 革命的労働者諸君! 革命的知識人、学生諸君!
 中央書記局の関西派の陰謀の本質があきらかになるにつれて、関西分派の非組織的策動を弾劾するこえが各地で発せられた。わが同盟の基本組織の存在するすべての職場、すべての学園、すべての地域で、怒りにもえた抗議のこえが起こっている。公然と、あるいは秘密裡に、全組織をあげて、あるいは個別的結集のもとに、全国のあらゆる地域からわれわれのもとに通信がとどいている。
 反帝・反スターリン主義の旗のもとに結集せよ!
 この叫びが相互に発しあわされなくてはならない。わが同盟の旗を黄色や灰色にぬりかえようとするいっさいの策動を拒否してわが革命的マルクス主義の旗をまもらねばならない。
 日本革命的共産主義者同盟全国委員会に結集せよ!
 関西派を弾劾するこれらの呼びかけはひとつにあつめられなければならない。わが全国委員会はこれらを集中し、全国的視野のもとに内部闘争を強化しつつ、真に日本革命を勝利にみちびきうる指導部を、労働者階級と革命的インテリゲンチャの内部に確立するための巨歩をいまただちにおしすすめるであろう。最後に笑うものがよく笑うものである。
     怯懦に死を!
  一九五九年九月二〇日
             日本革命的共産主義者同盟全国委員会
             (『前進』創刊号一九五九年九月二〇日に掲載)